小泉今日子と浜田真理子の『マイ・ラスト・ソング2016』に行ってきた

久世光彦が「もし最期の刻に一曲だけ聴くことができるとしたら、どんな歌を選ぶだろうか」というテーマで書き綴ったエッセイを、小泉今日子が朗読し、浜田真理子が歌うという『マイ・ラスト・ソング2016』に行ってきました。

このライブはそもそも歌について書かれた言葉あって、その言葉の魅力を、女優小泉今日子の素敵な声の語りと、歌い手&ピアノ弾きの浜田真理子の歌で綴るというライブなので、歌が主役というよりも、歌について語られた言葉が主役という、ちょっと捩れたところが魅力なんだと思う。

浜田真理子さんの歌をはじめて聴いたときも、何がこんなにいいのだか、わからないけど、物凄く感動した。そもそも歌の感動なんて、言語化しなくていいので、何でいいのか、なんて考えなくてもいいんだろうけどね。なんか、物凄く、いい。今回もいろいろな歌があった。

そもそも歌について語られた言葉に関するステージなので、歌も補完的な役割のひとつのはず。うたが一つの物語を持ち、その物語は久世さんの文章で物凄く魅力的に光ってて、それを小泉さんの素敵な素敵な声が増幅させる、と。

それを真理子さんの歌は、解放していく、というか。歌にまとわりついた意味や物語をもう一度浄化させて、そんなことがどうでもよくなるくらいにまで、うた本来の持つ、うたの一番歌っぽいところを引き出していくというか。だからこそ、久世さんが持つ世界と、小泉さんが持つ世界と、全部しっかり拮抗してあんなに素晴らしいステージが出来上がるのだなと。そんな風に感じました。

わたしを含め若いPたちがボーカロイドを使うのも、また全然違う意味で「歌」が持つ過剰な意味性を解放する試みだったりもすると思っているのですが、あの会場にボカロ聴いてる人はひとりもいなかっただろうなと。。

5月9日に、もう一回東京で公演があるそうです。本当に最高ですよ。