新しいアルバム、つくりました。全国発売は2016年7月15日の予定。
この間、すべてのイベントへの参加を控え、制作に集中してきて、結局一年かかっちゃった。
全曲書き下ろしのオリジナルです。
思えば1stと2ndは、ボカロって何だろうとか、初音ミクって素敵だよね、とか、そういうことが新鮮で、勢いで創り上げていった感じがするなあ。
でも今回はじめて、アーティストとして、いや、違うな、アーティストではなく、サークルとして、僕らは何を楽しんでいるのか、何を楽しみたいのか、そもそもわたしたちはどんなことが価値があると思っているのか、そんなことを真剣に考えた。
もちろんそんな大きな問題に、いくら考えても答えなんて出せるはずはなく。それでもキーを叩けば音は出る。リピートさせればビートが出来上がる。フレーズに歌詞を打ち込めばミクさんが歌ってくれる。。。やっぱりいつものように、ただ心地よいと思う音を重ねて音楽を創っていった。
創っていくなかで、いくつかの詩の断片が、ひとつの物語につながった。曲は全部、ひとつひとつ完全に独立しているのだけれど、その後ろ側にはひと連なりの物語がある。
物語は、現実にあったとても陰残な事件がベースになっている。
作詞のDr.ヤンスキが、そのとてもパーソナルで陰残な出来事に、世界規模の大きな出来事を重ねた。この瞬間に、七人の少女たちの歌と、その背後にあるひとつの歌、計8曲が、勝手に動きはじめた。
絵師のヲイカワの中でも、その物語と少女達は勝手に躍動を始めた。
彼は長年オトホギの絵を描いてきたiPadを捨て、白いスケッチブックにダイレクトに絵を書いていった。後戻りも修正もままならないアナログの世界で、静謐と躍動の両方を併せ持った少女達が描かれていった。
このアルバムは現実に起きた「圧倒的な暴力」を伴うふたつの出来事がテーマ。
でもそれはあくまでも、創り手側がテーマとして選んだだけなので、出来上がった歌のそれぞれは、そのようなテーマとも物語とも切り離して、みんなそれぞれ自由に愉しんでほしい。
やっぱりわたしたちは、このアルバムを創る過程で、もう一度ボーカロイドの楽しさと素晴らしさを再発見したんだ。だからこのアルバムは、わたしたちの「リナシータ」でもあると。
2016年5月15日追記