たまたま河野裕とステイサムと西尾維新

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たまたま読んでみた河野裕の新潮文庫NEXが面白すぎて立て続けに階段島シリーズを一気読みしたけど、あくまで、おそらくたまたま、であって、この程度に面白い小説なら、きっと他にもたくさんあるのだろうなと思う。

 

HULUにはジェイソンステイサム主演の作品がたくさん上がっていて、たまたま立て続けにステイサム主演の映画を適当に観ていったけど、この程度のカタルシスをもたらしてくれるような映画は恐らく他にもたくさんあるのだろうと思う。

 

西尾維新はたまたま何作か読んだことはあるけど、他の数多ある推理作家とそう見分けがつくほど思いいれもなく、たまたま読んだいくつかの作品に感心したことは覚えているなと。

 

その西尾維新がどうやら原作らしい髪の毛が白い魅力的な女性を主人公に誂えた『掟上今日子の備忘録』なるテレビドラマも、これまたたまたまHULUで退屈しのぎに観始めたんだけど。

 

そんなたまたま観始めたあざとすぎる設定の作品に、毎回泣いてしまうほどに感動しているということは、どの友達にも言う気になれなくて。まあ、友達なんていないけどね。

 

他にもたくさんいいものがあって、それが日常的にたくさんたくさん生産されてるんだろうなって、そう思うので、わざわざ何かを必死に観なくても、常にそこそこの推理小説やそこそこのアニメやそこそこのステイサムやそこそこの西尾維新は常に途切れなくドバドバ供給されているはずで。

 

でも、それを観るのは、それに出逢うのは、たまたまなんだよね。

 

かつては、いい作品が創られる方が貴重だったはず。そっちが「たまたま」だったはず。いい作品が創られたとあらば、矜持を正して劇場に向かい、チャンネルを握り締めてテレビに向かい、予約するのももどかしくCDショップに向かったはずなんだけど。

 

いまは、たまたま出会ってしまうものが、ことごとく物凄くレベルが高い。何の苦労もせず、本当にたまたま、物凄くレベルが高いものに出逢えてしまい、それを心置きなく享楽できてしまう。先日小倉でたまたま観てしまった劇団☆新感線もそうだったけどね。

 

まあ、いずれにしても、掟上今日子なる探偵を主人公に据えた少々乱暴な作りの連続ドラマを8話まで観続けて、あと数話で終わってしまうことが悲しくて。もうあと数話であの美しい銀髪の探偵の美しい瞳を拝めなくなるのかと思うと、気が気でない。

 

繰り返すけど、他にもきっといいものはたくさんあるのだろうなと思う。その中で、たまたま、自分の魂を震わせてくれるようなものと出逢うんだけど、実はそれは「たまたま」であって、そこに本質を見出すのなら、他にもこんなのやこんなのや、歴史的に見るとこんなのがこんな文脈で存在しているのだよ、という説明は、最早何の意味も持たなくて。

 

それも良質なコンテンツの横溢がなせる業なのだろうなと。小説なり映画なり演劇なりアニメなり音楽なりライブなり更に他の細分化された何かに的を据えられればよいのだろうが、そうするつもりはまったくないな、なんか。

 

でもそのすべてに目を通すつもりもまったくないし、できるわけないので、これからも、ひたすら「たまたま」出逢ったものを愛で、享受し、偏愛してゆくしかないのだろうなと。

 

オトホギの、このアルバムなんかも、たまたまでよいので、誰かの目にとまればよいのだけれど。。。