水門-みなと-


堰を開けば そろそろと
流れる水に夕日がが跳ねる
さらに開けば ぞわぞわと
銀杏の落ち葉 金色の鳥

契りを交わしたあの丘が
固く閉じた まぶたに映る
過ぎた願いは見ぬものよ
叶わぬものよ 叶わぬものよ

驟雨を集め 水が走る
水神様よ 納めるが吉
山神様よ 納めるが吉
わたしの中で眠るがよいよ

あの人とその子らが
幾千年も 栄えますように
命の柱は 意志の堰
いついつまでも 守るから

ついえる光 嗚咽が漏れる
つがいの鳥よ 私も彼と
現世の空を 飛びたかったわ
まなこに霞む 最後の景色

堰を開けば そろそろと
流れる水に夕日がが跳ねる
さらに開けば ぞわぞわと
銀杏の落ち葉 金色の鳥