東京の真ん中の大きな森と相対性理論の新譜

またまた『ゲンロン2』の話なんですが、今回の特集が「慰霊の空間」というテーマで、そのアタマに中沢新一のインタビューが掲載されてて。

個体の死を超えるものとして、田邊元の「種の論理」と、最近の彼の『アースダイバー』の仕事に代表されるような「ジオ」の哲学と、二つのリソースから慰霊を語ってるんだけど、このなかで都市の中に抱えられた慰霊の空間として、明治神宮の森の貴重さが話されていて。

そうか、普通に都会の真ん中に存在して、生活のすぐ隣にあったりするので、意識したことないし、そういえばちゃんと行ったことないな、と思い、明治神宮に行ってみた。

たしかに、超でっかい。

今日は参拝ではなく、慰霊の森を体験する、という感じで。神宮をめぐるのではなく、森を歩き回る感じで。うん、確かに歩き回ってるだけで、なんか浄化されていく感じがする。気持ちいい。

でもすぐに疲れてビールとか飲んじゃうので、まあ慰霊もへったくれもないんだけどね。ちょうど結婚式をやってて、それを外国人観光客がバシャバシャ写真撮ってて。祝祭と観光が混在してるうえに、すぐ裏が原宿で、崇高さと猥雑さも隣り合わせてて、そういう感じも「一種のフラクタル性を持った中空構造」という中沢新一らしい言い回しがぴったりくるのかも。

そのまま渋谷のタワーレコードまで歩き、1階をふらっとまわった収穫が写真のCD。相対性理論の新譜にはステッカーが、でんぱ組.incの新譜には缶バッチがおまけで。どれもまだ聴いてない。っていうか、でんぱ組なんて聴いたこともないのに、試聴もせずになぜ買った?これも森の神秘の力か。

昔からある東京のど真ん中の大きな慰霊の森を巡って、いまこのときのサウンドたちを聴く、と。

この音楽たちも、何百年先まで残るんだよね。CDに焼かれたからには、ビット化されてどこかのサーバの片隅に絶対に残り続ける。聴き続けられるかどうかはともかくとして。文化ってそういうものだよね。寺も神社もたくさん創られて、残っているから文化なのであって。

初音ミクも、残り続けるといいな。ちゃんと、文化として。

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